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第23報で述べたようにⅤ型脂質異常症とはポリアクリルアミゲルディスク電気泳動(PAGE)法でVLDLが高くLDL分画(IDL、sdLDLを含む)が殆どない(左図)ことを特徴とする疾患群です(第15報参照)(参考文献1)。
古い文献によると中性脂肪値が1000mg/dL以上がⅤ型と記載されていたこともありましたが、2019年の久保田らの脂質異常症判定アルゴリズム(参考文献1)で中性脂肪(TG)値はカイロマイクロン(CM)の有無や食事の影響で大きく変動するので内因性のリポタンパク質のVLDL分画の分画%値を判定の基準にしており、特にⅤ型はLDL分画が無いことが特長であり、約200~300名に1人位出現する珍しい疾患群でなくなりました。この久保田らのアルゴリズムによるとTG値は400~500mg/dLでもⅤ型脂質異常症と判定された例もあることに留意しなければなりません。 さて第21報で示したようにポリアクリルアミドゲルディスク電気泳動(PAGE)法は直径7mmのガラス管にポリアクリルアミドゲルを充填した支持体を使う電気泳動(PAGE)法であり、リポタンパク質を濃いシャープなバンドに分析する(分子篩効果による粒子径の順に分析する)点が特徴ですが、半面光学的に不透明なバンド(VLDLやHDL)を有しており、普通の光学式濃度計では測定できない事(JISK0115違反)を知らずに測定していた経緯があり、VLDLバンドを低く測定し代わりに低いLDLバンドを大きく表記したため間違ってⅣ型と判定し混乱を生じさせていため、Ⅴ型症例が少なかったことが判明しました。 現在は写真からの濃度測定法(第21報)が普及し判定ミスは激減し、頻繁にⅤ型脂質異常症患者が出現しています。 |
LDL(LDLコレステロール)が無いⅤ型に心筋梗塞患者がいることの説明
Ⅴ型脂質異常症発症の原因については現在完全に解明されているわけではないですが、最も考えられるのはアポEの遺伝子異常(アポE2、アポE4、アポE5など)またはアポEレセプターの異常ではないかと推測されます。それは第8報の「LDL粒子生成の秘密」で説明したようにLDL粒子を直接産生する臓器がないことからⅤ型ではVLDLのアポEの離脱ができずLDL粒子が作れない現象が起こっており、不足するコレステロール代謝はVLDL中のアポB因子を使いLDLレセプターで取り入れた結果 LDL粒子のないⅤ型脂質異常症が発生したことはほぼ間違いありません。この過程で易酸化VLDLが作られそれが酸化されマクロファージにより動脈硬化巣に運び込まれ心筋梗塞などが発生したものと解釈されています(第7報特許参照)。
参考文献1 :久保田 亮、井上郁夫、小倉正恒、小泉智三、藤井 隆、野田光彦 : 心筋梗塞発症体質と膵炎発症体質患者における脂質異常症例に対しポリアクリルアミドゲルディスク電気泳動法を用いた新病態分類法(改変WHO分類法)の試み、日本体質医学会誌、Vol.81, No.1、2019
