第18報 小粒子LDL(sdLDL)出現の怪

ひと昔前まで小粒子LDLは酸化されやすく心筋梗塞のリスクファクタ-と言われていましたが、その酸化されやすい理由が説明されていませんでした。しかし現在、既に第3報・第4報・第5報で述べたようにLDL粒子の酸化は易酸化LDLが酸化された結果と説明されています( 特許第6454950号、第7報)。

しかし小粒子LDL粒子は人為的に出現させることができます。例えば人工透析の際に使われている抗凝固剤(へパリン等)で容易に小粒子化されますし、心臓手術等に使われるヘパリンでも小型化します(下記図参照)。 ゆえにLDLの小型化自体が心筋梗塞のリスクファクタ-になることはありませんしその上小粒子化されたLDLが酸化されやすいことも明確ではありませんでした。

以上より小粒子LDL(sdLDL)が多いだけで心筋梗塞のリスクの有無を診断することはできません。代表的な例として人工透析や心筋梗塞を起こした患者の入院直後大量のヘパリンを注射され、小粒子LDLが出現することが小泉らの論文に報告されています。(下記図のpost-Heparin参照)。

図は下記引用論文より転載。
Tomomi Koizumi , Hideaki Kaneda , Nobuyuki Komiyama , Ikuo Inoue , Toshihiro Muramatsu , Katsuyuki Nakajima : Lipoprotein Profiles before Heparin Administration in Patients with or without Coronary Thrombosis Followinw@
g Atherosclerosis、Ann Vasc Dis、14(1):31–38、31–38、021

上記小泉らの論文はSTEMI ( ST上昇型心筋梗塞)で緊急入院した患者のヘパリン投与前(pre-heparin)と投与後(post-heparin)のポリアクリルディスク(PAGE)電気泳動像の濃度波形図を比較した貴重な論文です。この論文によると心筋梗塞の疑いで緊急入院した患者のヘパリン前の血液検体の入手は極めて難しくそのほとんどがヘパリン後のデータですので小粒子LDLが多いのは当然です。
したがって、ヘパリン投与後のデータでもって心筋梗塞患者に小粒子LDL(sdLDL)が多いという論文がありますがその旨断ってない以上(per-Heparinを確認していない限り)無意味です。

一般的に心筋梗塞で緊急入院した患者様の入院時(入院直後)の血清脂質(TC、TG、HDL-C)値は高くありませんでした。食事どころではなかったか、もしくは薬物治療中であったかも知れません。心筋梗塞かどうかは血清脂質で断するのではなく心電図や心筋梗塞マーカで診断されるからです。

以上、このホームページではヘパリン前(pre-heparin)かヘパリン後(post-heparin)のデータかを確認しなければ事実を見失う恐れがあることをお知らせしました。

従って易酸化LDLの検出には同じ検体のインキュベーション前と後でどれだけ小粒子LDLが増加したかを見る必要があります( 特許第6454950号、第7報)。

インキュベーション前と後で小粒子LDLが増える理由

皆さんは同じ検体を37℃2時間インキュベーションしただけでなぜ易酸化LDLの存在がわ分かるかを知りたいとは思いませんか。
答えは第10報の易酸化LDLの測定法の 「ポイントの項」 をもう一度見て下さい。

易酸化LDLの存在は個人差がありますし、その上少量ですので例え酸化されたとしても、動脈硬化や心筋梗塞を起こすまでに数十年かかっていたことになります。
しかし親兄弟に心筋梗塞になった方が居られる場合や中高年になったら1度は、易酸化LDL産生体質の検査をお受けになることをお勧めします。
易酸化LDLは治療により無くすことができる点(第19報、第20報参照)が特徴です。

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第28報 動脈硬化巣に酸化LDLが蓄積する理由 その3 Ⅴ型脂質異常症の例
第27報 動脈硬化巣に酸化LDLが蓄積する理由 その2 Ⅲ型脂質異常症の例
第26報 動脈硬化巣に酸化LDLが蓄積する理由 その1 FHの例
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薬物と治療
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第18報 小粒子LDL(sdLDL)出現の怪
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第16報 脂質異常症のWHO型判定結果の読み方
第15報 脂質異常症の改変WHO型判定法のアルゴリズム(医科向け)
第14報 脂質異常症(高脂血症)のWHO型の判定(Classification)
第13報 ポリアクリルアミドゲルディスク電気泳動(PAGE)法による健常者の濃度図
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第11報 易酸化LDLの測定
第9報 検体を37℃2時間インキュベーションしただけで何故 易酸化LDL存在が解るのですか?
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第5報 なぜLDL粒子は酸化されるのか? (No.3)
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