第16報 脂質異常症のWHO型判定結果の読み方

第15報は医科向けの脂質異常症の判定基準でした。第16報ではなぜ脂質異常症で動脈硬化や心筋梗塞が起こるのかについいてわかりやすく説明します。

高脂血症の WHO 型論文の TITLE
Classification of Hyperlipdaemias and
Hyperlipoproteineamias, Bull , WHO,
vol45, 891-915,1970

注: ここでは、アポリポタンパク質A、B、C、D、Eが出てきます。「第8報参照」、それぞれアポB、アポEと記載した。
Ⅰ型 脂質異常症 カイロマイクロン(CM)が異常に蓄積し、正常なLDLやHDLが非常に少ない疾患。血漿(血清)が強度白濁する。10万人に1人位発症する疾患で遺伝的であり厚生労働省指定難病262に指定されている。専門医門医の診断を受ける必要がある。
Ⅱa型 脂質異常症 特にコレステロールが高い疾患。 時に重症化する家族性高コレステロール血症(FH)となることがある。
1) FHの場合: LDLコレステロールが異常に蓄積する疾患(遺伝的) 厚生労働省指定難病79
診断:未治療時のLDLコレステロールが180mg/dL以上。 遺伝と身体所見で診断。心筋梗塞になる可能性がある(理由:第17報参照)ので専門医の診断を受ける必要がある(参考文献2)。
2)FH以外のⅡa型 : 総コレステロールが220mg/dL以上でVLDL
分画%が15%未満(参考文献1)で、非常に患者数が多い疾患である。治療の要・不要は専門医の診断に任されているが、心筋梗塞になる可能性を否定できない(理由:第17報参照)。
HDL分画が33%以上の場合、Ⅱa型判定が保留される(参考文献1)。
Ⅱb型 脂質異常症 特にコレステロールが高い疾患。時に重症化する家族性高コレステロール血症(FH)となることがある。
1) FHの場合: LDLコレステロールが異常に溜まる疾患(遺伝的) 厚生労働省指定難病79
診断:未治療時のLDLコレステロールが180mg/dL以上。遺伝と新体身体所見で診断。 心筋梗塞になる (理由:第17報参照)可能性が高いので専門医の診断を受ける必要がある(参考文献2)。
2) FH以外のⅡb型 : 総コレステロールが220mg/dL以上でVLDL分画%が15~25%以内(参考文献1)で、非常に患者数が多い疾患である。
治療の要・不要は専門医の診断に任されているが心筋梗塞になる可能性を否定できない(理由:第17報参照)。
Ⅲ型 脂質異常症 LDLが殆ど無い疾患でかつIDLが縦軸目盛0.1 を超える疾患遺伝的)(参考文献1)厚生労働省 厚生労働省指定難病336
アポE2のホモかヘテロの場合に発症しやすい。
アポE2を持っていてもⅢ型脂質異常症発症しない場合もある。発症すれば心筋梗塞になりやすい(理由:第17報参照)。
専門医の診断を受ける必要がある。
Ⅳ型 脂質異常症 VLDL20%以上でかつ総コレステロール220mg/dL未満(参考文献1)。アポE4のホモかヘテロの場合がある。
この型にはIDL増加型と小粒子LDL(sdLDL)増加型がある(参考文献1)。IDLやsdLDLが多い場合は、心筋梗塞になる(理由:第17報参照)可能性がある。
(但しIDLやsdLDLが多い場合とは、専門医の診断を受けたほうが良い。治療の要・不要は専門医の診断による。
Ⅴ型 脂質異常症 VLDLの分画%値が30%以上でかつLDL(IDL、sdLDLを含む)のピーク波形の縦軸の目盛が0.1以下(参考文献1)
アポE4のホモかヘテロの場合がある。膵炎を起こすので専門医の診断を受ける必要がある。厚生労働省指定難病262
この患者はLDLが低いが心筋梗塞を起こす場合もある(理由:第17報参照)。
その他
  1. 写真や濃度図にHDLバンドが無い場合はタンジール病の可能性もある(参考文献2)。
  2. Ⅰ~Ⅴ型の判定が無い場合またはNormal or Border Lineの表示がある場合でも、境界域(Border Line)の可能性があるので、家族に上記のような既往症がある方や肥満、透析、動脈硬化、糖尿病等心当たりのある方は医師に相談する必要がある。
参考文献1: 久保田 亮、井上郁夫、小倉正恒、小泉智三、藤井 隆、野田光彦: 心筋梗塞発症体質と膵炎発症体質患者における脂質異常症例に対しポリアクリルアミドゲルディスク電気泳動法を用いた新病態分類法(改変WHO分類法)の試み、日本体質医学会誌、Vol.81, No.1、2019
参考文献2: 日本動脈硬化学会編 : 脂質異常症診療ガイド、2023.6.30

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