第28報 動脈硬化巣に酸化LDLが蓄積する理由 その3 Ⅴ型脂質異常症の例

Ⅴ型脂質異常症とはポリアクリルアミドゲルディスク電気泳動(PAGE)法でLDL分画が非常に少なくカイロマイクロン(CM)やVLDL分画が多い典型的な疾患群(第23報参考)です。

カイロマイクロン(CM)部は患者により様々で古い文献に中性脂肪値が1000mg/dL以上と記載されていたこともありますが、久保田らの脂質異常症診断アルゴリズム(参考文献1)では中性脂肪値は食事の影響が大きいのでVLDL分画%値を使用しており、日常検査でそんなに少ない疾患群ではなく300例に1人位存在している(TG値は400~l500mg/dLでもⅤ型脂質異常症と診断された例もあります。

第21報で示したようにポリアクリルアミドゲルディスク電気泳動(PAGE)法は直径7mmのガラス管ポリアクリルアミドゲルを充填した支持体を使う電気泳動(PAGE)法であり、リポタンパク質を濃いシャープな粒子径の順に分析できるが光学的に不透明なバンド(VLDL)を有しており、普通の光学式濃度計では測定できない事(JIS k0115違反)を知らずに無理に測定していたため、VLDLバンドを低く測定してⅣ型と判定していたため、症例数が少なかったようです。現在は写真からの濃度測定法で測定されており判定ミスはなくなりました(第21報参照)。

Ⅳ型との鑑別が容易になったことが影響し患者は約300例に1人位存在しています(TG値は400でも500mg/dLでもⅤ型がる)。TG値では判定出来ない理由となっています。

さて、肝心のLDLコレステロールが無い患者に、心筋声即患者がいることの説明が遅れました。
Ⅴ型脂質異常症発症の原因については現在完全に解明されているわけではありませんが、最も考えられるのはアポEの遺伝子異常(E4,5,7)かアポEレセプターの異常ではないかと推察します。すなわちPAGE法でⅤ型はLDL分画が殆んど無いことが確認されており、不足するコレステロールや中性脂肪の取り込みを考えると、その代償にカイロマイクロン(CM)やVLDL分画が使われており少ないLDL分画を有効に使うためLDL分画が完全になくなるくらい使うため易酸化LDLが増えていたと推察します。結果的に酸化LDLが冠動脈に蓄積したものと推察します。