第27報 動脈硬化巣に酸化LDLが蓄積する理由 その2 Ⅲ型脂質異常症の例

厚労省指定難病336は家族性Ⅲ型脂質異常症といわれており、アポリポタンパク質アポE2/2(遺伝子型、第8報参照)を持つ患者やそのヘテロ型(E2/3、E2/4等)の患者に発生すると言われています(因子を持っていても発症しない患者もいる)。

アポE2/2型をもつ患者は、カイロマイクロン(CM)やカイロマイクロンレムナント(CM-R)を取り込めないので血清が白濁)したりVLDLやIDL分画が高くなります(アポEを介する脂質代謝が行われない状態になっています)。しかしその代償として、脂質代謝は殆んどVLDLを通して行われますが生存も危うく、約100万人に1人位と言われております。

Ⅲ型判定検査法 : WHO型のⅢ型の判定はポリアマクリルアミドゲルディスク(PAGE)電気泳動法でIDLが高くLDLが極端に低いことでほぼ判定できます(第15報第16報 Ⅲ型参照 )。またはアポE2/2またはそのヘテロ型の遺伝子型を調べることで確定診断可能です。

Ⅲ型脂質異常症が心筋梗塞になりやすい理由

WHO型のⅢ型脂質異常症のアポE2/2ホモ型は前述のように生存者は非常に少ない(E2/2ホモ型「Ⅲ型」は100万人に1人位と言われている)ので、ここではヘテロ型を中心に話を進めます。

注意 : アポE2因子を持っているだけでⅢ型脂質異常症と診断されるわけではありません。
第8報の代謝図でカイロマイクロン(CM)やカイロマイクロンレムナント(CM-R)がそのまま肝臓に運ばれアポB100とアポE2/2の服を着たVLDLに作り替えられますが、アポE2/2のホモ型はそのレセプターに捕らえられないため血中に残りIDLになります。アポE2のヘテロ型の場合は残りのアポE3かE4等のレセプターで代謝されます。しかしVLDL中のアポB100を利用したとしても絶対量が足りないため各細胞は相変わらずリパーゼ(LPL 等)を増産しリポタンパク質の取込を図っていますので必然的に易酸化VLDLやLDLが出現し、血液中の活性酸素により酸化され前述のマクロファージ(第3報第4報第5報)により動脈硬化巣に運び込まれます。

以上によりこの疾患も第26報で述べた様に真犯人は酸化LDL(第3報)だったのです。我々が目にするⅢ型脂質異常症の写真や濃度図は殆んどヘテロ型の患者と推測します。