ひと昔前まで小粒子LDLは酸化されやすく心筋梗塞のリスクファクタ-と言われていましたが、その酸化されやすい理由が説明されていませんでした。しかし現在、既に第3報・第4報・第5報で述べたようにLDL粒子の酸化は易酸化LDLが酸化された結果と説明されています( 特許第6454950号、第7報)。
しかし小粒子LDL粒子は人為的に出現させることができます。例えば人工透析の際に使われている抗凝固剤(へパリン等)で容易に小粒子化されますし、心臓手術等に使われるヘパリンでも小型化します(下記図参照)。 ゆえにLDLの小型化自体が心筋梗塞のリスクファクタ-になることはありませんしその上小粒子化されたLDLが酸化されやすいことも明確ではありません。
以上より小粒子LDL(sdLDL)が多いだけで心筋梗塞のリスクの有無を診断することはできません。代表的な例として人工透析や心筋梗塞を起こした患者の入院直後大量のヘパリンを注射され、小粒子LDLが出現することが証明されています。(下記引用文献post-Heparin参照)。

図は下記引用論文より転載。
Tomomi Koizumi , Hideaki Kaneda , Nobuyuki Komiyama , Ikuo Inoue , Toshihiro Muramatsu , Katsuyuki Nakajima : Lipoprotein Profiles before Heparin Administration in Patients with or without Coronary Thrombosis Followinw@
g Atherosclerosis、Ann Vasc Dis、14(1):31–38、31–38、021
上記引用論文はSTEMI ( ST上昇型心筋梗塞)で緊急入院した患者のヘパリン投与前(pre-heparin) ,投与後(post-heparin)のポリアクリルディスク電気泳動(PAGE)像の濃度波形図です。入院時の脂質値(TC,TG, HDL-C)はnormal と記載されています。(この場合の小粒子LDLの出現は、酸化LDLの出現と異なるので区別する 必要がある)
確かにpre-heparin時に小粒子LDL(sdLDL)は存在していません。この例のように心筋梗塞で運ばれてきた患者の脂質(TC,TG, HDL-C)が異常とは限らない例です。初期症状時、食事どころではなかったか、もしくは薬物治療中であったかも知れません。緊急時は心筋梗塞マーカにより診断されるので誤解しないよう注意してください。
このホームページではヘパリン前(pre-heparin)かヘパリン後(post-heparin)のデータかを確認しなければ事実を見失う恐れがあることをお知らせしました。
従って易酸化LDLの検出には同じ検体のインキュベーション前と後でどれだけ小粒子LDLが増加したかを見る必要があります( 特許第6454950号、第7報)。
◎インキュベーション前と後で小粒子LDLが増える理由
皆さんは同じ検体を37℃2時間インキュベーションしただけでなぜ易酸化LDLの存在がわ分かるかを知りたいとは思いませんか。
答えは第10報の易酸化LDLの測定法の 「ポイントの項」 をもう一度見て下さい。
易酸化LDLの存在は個人差がありますし、その上極少量ですので、動脈硬化や心筋梗塞を起こすまでに数十年かかっています(その間酸化されたLDLが溜まり続けていたのです)。しかし親兄弟に心筋梗塞になった方が居る場合や中高年になったら1度は、易酸化LDL産生体質の検査をお受けになることをお勧めします。
易酸化LDLは治療により無くすことができる点(第19報、第20報参照)が特徴です。
【記事一覧】
第1報 動脈硬化の発生原因が解明されました
薬物と治療