第11報は患者の内、リポタンパク質が健常である人の血液から赤血球を除いた血清中のリポタンパク質をポリアクリルアミドゲルディスク電気泳動法で分離した写真を紹介しました。皆さんの体に流れている血液の中にこの写真に示すVLDL, LDL, HDL粒子が存在しています。但し目に見えるようにリポタンパク質を青い色素で染めています。
この写真と第8報のリポタンパク質の代謝図を見て戴くとそのメカニズムが何となくわかります。
しかし写真からだけではVLDLやLDLが多いなあ…HDLが少ないなあ…としかわかりません。これでは治療薬が効いた?効かなかったか?などを判断できません。
不思議なことにこのLDL粒子中のコレステロール (LDL-C)だけを測定して悪玉コレステロールが減ったから[良し]とする医師も居るくらいですから心筋梗塞や脳梗塞が絶えません。
何がどう悪玉かは第8報のリポタンパク質の代謝図に答えがあります。
さて その答えの前に第11報の健常者の濃度図を見てください。
本報はこの電気泳動写真を解析する濃度計(電気泳動像をCCDカメラで撮って画素値を縦軸にプロット)で写真を忠実に波形にした図です。

患者検体は黄色の中塗り波形で表わしています。標準検体の濃度図は実線のみで表記しVLDLとHDLピークを一致させて表記しています。
ここで写真の濃淡と濃度波形が一致していることをご確認してください。
今までの濃度計では、この写真と濃度図が乖離していたため正確な判断ができませんでした。この報告書の様に並べておけば疑いのない診断ができるようになります。
第13報で脂質異常者群の濃度図をお示しします。