第4報 アポE4の謎 その3

ところでこのPAGE法の検査をしていないとⅠ型・Ⅱa型・Ⅱb型・Ⅲ型・Ⅴ型を確に知ることができません。少し言い過ぎかもしれませんが、PAGE法の検査をしないで主にLDLコレステロール値や中性脂肪値(TG値)だけを見ている医師にはリポタンパク質上のLDLの酸化やアポEに関わる認知症が見えないので、心筋梗塞の予防および認知症の予防について皆さんにお話することができないと思われます。
何故ならばリポタンパク質の代謝は全て上記カイロマイクロン(CM)、VLDL、LDL、HDL粒子を介して行われているからです。

一寸横道にそれましたが、本報の認知症発症原因は、前第3報のWHO型脂質異常症の判定に大きく関っております。

そもそも1970年にWHOが公表した上記WHO型脂質異常症の分類法は測定法が複雑で保険適用されておらず研究以外には使われていませんでしたが、その後2019年久保田らが報告した「改変WHO分類法」(参考文献1)を発表して以来この判定法が一部の院院や開業医で使えるようになりましたが、保険点数も低く赤字検査(保険より検査実施料が高い)となっており浸透が遅れています。

参考文献1: 久保田 亮、井上郁夫、小倉正恒、小泉智三、藤井 隆、野田光彦 : 心筋梗塞発症体質と膵炎発症体質患者における脂質異常症例に対しポリアクリルアミドゲルディスク電気泳動法を用いた新病態分類法(改変WHO分類法)の試み、日本体質医学会誌、Vol.81, No.1、2019

さて厚生労働省が難病28に指定したアミロイドーシスの一部に脳アミロイドーシスとしてアルツハイマー病があげられております。しかしこの「アミロイドβの蓄積原因」のプロセス(メカニズム)が説明されておりません。これらはVLDLが溜まる疾患の治療法を真剣に研究して来なかった結果のなれの果てと思われます。早い時期に適切なVLDL低下治療をしておれば認知症も随分防げた可能性があります。

さらに2026年7月21日WHOは認知機能の低下および認知症のリスク低減に関する予防ガイドラインを公表しましたがこれにも「アミロイドβの蓄積が原因」とするプロセス(メカニズム)が説明されておりません。

我々はこの「アミロイドβの蓄積の原因」が解明できないのは、リポタンパク質のWHO型判定をしないで、その中身の中性脂肪やLDLコレステロールばかりを見ていたため事実を見逃していると推察しました。我々は中性脂肪やLDLコレステロール他の測定が不要とは言っていませんが、事実上生体内ではそれらはリポタンパク質粒子として代謝されているので、先ず第一にリポタンパク質の粒子が見える測定を行ないWHO型脂質異常症の診断が優先しないと答えが得れないと世界中に警鐘します。

本第4報では認知症の発症メカニズムに焦点を合わせて記載します。
先ず第一に認知症は脂質異常症が原因であることを確認します。
アポE4を持つ人が何故認知症になるリスクが高いのかについて我々は次のように考えている。

第2部弟2報で述べたように脳には脳血液関門があり末梢血液は容易に脳内に入れないことを述べたが、特異的転送蛋白(PLTP等)で転送された末梢血液の原料を使い新たに脳VLDLや脳HDL粒子を合成してその需要を支えている(第2部弟3報で述べた脂質異常症WHO型の写真にあるVLDL粒子の合成は、原料が多い分容易であると思われ)。これはアポEのフェノタイプとは関係なく、原料の多い少ないで決まる問題であることに注意する必要がある。

結論として認知症を予防するには、WHO型のⅠ型・Ⅱb型・Ⅲ型・Ⅳ型・.Ⅴ型のVLDL値を下げる治療法が認知症を予防する効果は高いと思われる。但しⅠ型とⅤ型はリパーゼの遺伝的な欠如または異常が原因であり、Ⅲ型はアポE2の異常が原因と解って分かっているので、それらの確認をしてからVLDL低下療法を選択する必要がある。

【投稿記事一覧】

第4報 アポE4の謎 その3
第3報 アポE4の謎 その2
第2報 アポE4の謎 その1
第1報 認知症発症のメカニズム