ところで最近認知症になり易いヒトはアポE4を持っている患者が多いと言う宣伝が蔓延しています。ただ多いと言うだけでアポE3を持っている方々も認知症になっています。その説明はありません。
先ずリポタンパク質アポEとは何者でしょうか?
既に第1部第2報で述べたように脂質は水や血液に溶けないためリポタンパク質の服を着て血液中を動き回っていることをお伝えしました。そしてその服の種類として、カイロマイクロン(CM)はアポB48、VLDLはアポB100とアポE、LDLはアポB100、HDLはアポAとアポEの服を着て血液中で脂質の運搬を担っていると書きました。そしてそれぞれの作用目的が決まっています。

すなわちVLDLはアポBとアホEの服を着て主に中性脂肪とコレステロールの運搬と供給をしているリポタンパク質であり、LDLとはアポのB服1着のみを着たリボタンパク質で主にコレステロールを運搬と供給をしているリポタンパク質で、全てのリポタンパク質は各細胞が持っている特定の受容体(レセプター)でそれぞれの細胞にとりこまれます。ところがアポEには遺伝子が1個または2個違う同位体(アイソホーム)が5種類ありそれぞれホモとヘテロ型があるので下記計15種類あることになります。遺伝子の変異のないという野生型はE3/3です。すなわちアポEの服は15種類あることになり、各人それぞれどれか1着着ていることになります。

脳では大量のリン脂質や中性脂肪、コレステロールを使うのでその原料を末梢血液中(動脈血中の血液)のリポタンパク質に依存しています。しかし末梢血液中のVLDLやHDLは血液脳関門 (注:参照)を通過できないので脳内(アストロサイト)で作られたアポEやアポAに特異的転送蛋白(PLTP等)で送られて来た脂肪酸やコレステロール、リン脂質などをperβHDL様リポタンパク質(実質アボEの服を着たVLDLおよびHDL)に転送され(参考文献1)脳内のリポタンパク質の需要を賄っています。
そして全ての脳神経細胞は含有するアポE受容体(レセプター)でこのVLDL様リポタパク質を取り込んで自らの細胞の生長や活動エネルギーと活用しています。
しかし加齢に伴なってVLDLの需要が低下しても供給は続けられますので、VLDL様リポタンパクが余り、不溶性のアポタンパク質の服はシート状に折りたたまれアミロイドβとなり大脳皮質や海馬などの細胞外に蓄積します。その蓄積する量は微々たるものであるが徐々に溜まった結果脳機能障害を発生させたのが認知症です。
老化により脳神経細胞の活動が弱まりリポタンパク質の需要が低下し、余ったリポタンパク質がアミロイドβを造ったため認知症が発生したことになります。
脳活動を活発化すれば認知症の発症を抑遅らせることができる所以です。
従って何故アミロイドβが出きて蓄積するかという理由の解明を優先すべきであるが、既にそのアミロイドβを取り除く治療薬(抗体薬)が承認されている(第2部第1報)のが本報の示す謎です。
但しまだ承認されたばかりで、どういう患者に投与するか等議論中です。
例えばアポE4因子保持者に限定するなどの動きがあります。今のところアポE3因子の認知症患者さんには投与できない可能性があります。
参考文献1
Fabien Pifferi, Benoit Laurent and Mélanie Plourde; Lipid Transport and Metabolism at the Blood-Brain Interface: Implications in Health and Disease, In Frontiers in Physiology 12, 645646,2021
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